久しぶりに「巧い」ドラマを見た。
平成21年度文化庁芸術祭賞のテレビ部門の大賞を受賞したドラマだ。この作品を見るきっかけは受賞を知ったからだが、芸術祭の大賞というのはドキュメンタリーなどのお堅い感じの作品ばかりで、これまではあまり興味をそそらなかった。だが、放送時間50分足らずのドラマ、そしてNHK広島制作という点が引っ掛かり見ることにした。
さて、その感想は...。詳細に評論するとかなり長くなってしまうので、ここでは簡潔にとどめたい。
まず、年老いた頑固もの男のキャラクターがいい。よく居そうな老人だが、その頑固さがよく理解でき、さらに親しみさえ湧いてくる。その老人に接する若い女性の描き方もいい。はっきりと老人にものを言う潔さと、ときおり見せる繊細さが絶妙のバランスだ。
そして、この二人が「対決」するシーンはかなりの迫力がある。それぞれの思いをなんと自然に吐き出していることだろうか。思わず納得してしまう、巧妙な会話のやり取りであり、セリフである。
そう、このドラマのすごさは脚本の素晴らしさにある。今回が初のテレビ作品となる渡辺あやは、映画「メゾン・ド・ヒミコ」や「天然コケッコー」を手掛けた脚本家。その自然体の語り口には固有の世界観を感じるが、今回のドラマもその力が遺憾なく発揮されている。
物語の終盤は...。これ以上語らないほうがよさそうだ。とにかく「やられた」という感じだ。だから「巧い」と表現したが、物語はかなり感動的でもある。
今回はBSハイビジョンでの放送だったが、地上波では3/13に放送される。ぜひ見てほしい。
星:★★★★