ドラマの素材となったのは、1999年に起きた光市母子殺害事件。これを追った記者、門田隆将氏の同名の著書を元にしたフィクションだという。
フィクションといっても、個人名や企業名が違うだけで、事件のその後をほぼ忠実に描いているように思う。
物語は一人の雑誌記者の目を通して進んでいくが、もちろん中心となるのは被害者家族である男性。憎しみ、悲しみ、そして亡き妻子への愛情...。彼のあふれ出す心情が、極めてストレートに描いている。
演出は大御所、石橋冠。最近のドラマは映画的な映像で見せるものが多くなったが、今回はハイビジョンの鮮明な映像をそのまま生かした、ある意味ベタな映像で撮りあげた。しかも、アップの多用やカットの多さは、まさにテレビらしいテレビの作り方。それが妙に新鮮だし、物語をより真実味のあるものにしている。
前編・後編と二日にわたる大作で、見応えは十分。役者の魅力を引き出し、これだけ緊張感のある映像を作れるのは、さすが石橋冠だ。
ただ、これはドラマを作る上では仕方のないことだが、加害者の少年の描き方が一方的だったところが最後まで気になるところだった。
星:★★★